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公務員給与の一部を、デジタル人民元で支給(蘇州市)


■蘇州市の公務員の給与の一部が、デジタル人民元で支給されたことがわかった。

 (温州晚報 2020/08/26)


現在、デジタル人民元の試行テストが行われているのは、深セン、蘇州、雄安新区、成都の4都市と2022年冬季五輪の会場(北京)である。

中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行の4大銀行が、それぞれデジタル人民元のデジタルウォレットのテストを行っている。

デジタル人民元は共通した一つのアプリ上で行われるのではない。

人民銀行から得たデジタル人民元を、銀行やアリペイ、ウィーチャットペイなどが、それぞれの既存のアプリを通じてユーザに提供する可能性が高い。

■デジタル人民元を利用する際に、以下の3つのプロセスを想定される。

① ユーザはデジタル人民元を利用できるアプリをスマートフォンにダウンロードする。

② ユーザは、登録のため氏名、身分証の番号、携帯電話の番号などの情報を入力し、アプリの中で必要な個人信用情報調査授権書類を表示する。

③ デジタル人民元を入手(チャージ)するために、銀行口座と紐づける。

ユーザは、既に預金口座を持つ銀行に新たにデジタル人民元口座(デジタルウォレット)を開設し、預金口座から必要な額のデジタル人民元口座に資金を振り替えてデジタル人民元を利用することになると考えられる。

一般にデジタル通貨は、「口座型」と「持ち運び型(分散型)」に分けられる。

日本でも利用される多くのスマートフォン決済は、前者の「口座型」で管理される。

他方、デジタル通貨の一種であるプリペイドカードは、後者の「持ち運び型」であり、ネットワーク上の口座(ウォレット)ではなくカードに価値が保存されている。

■デジタル人民元は、「口座型」と「持ち運び型」が組み合わされた設計になると予想されている。

「持ち運び型」の欠点は、デジタル通貨の価値を保存したカードやスマートフォンを紛失した際には、その価値を失ってしまうことだ。

ただし、自然災害時やシステム障害などの際には、ネットワークが稼働していなくても利用できるという利点がある。

中銀デジタル通貨は、アリペイ、ウィーチャットペイよりも高い信用力を持つ。

デジタル人民元が発行されれば、ユーザはアリペイ、ウィーチャットペイからデジタル人民元へと、利用をシフトさせていく可能性が高い。

■ただし、デジタル人民元を発行する一番の狙いは、米国の金融覇権に挑戦だ。

使い勝手の良いデジタル人民元を「一帯一路国」など周辺国に広めることで、人民元の国際化を進めることにあるはずだ。

参考:次第に明らかになるデジタル人民元の実相:木内登英のGlobal Economy & Policy Insight(2020/08/28)