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中国・グレーゾーン「低速EV」市場に切り込む、正規の「44万円EV」

■上海GM五菱汽車が開発した「宏光MINI EV」。
2020年7月24日の発売から20日間で1万5000台を販売。
中国で農村市場をターゲットにした異色の電気自動車(EV)だ。
宏光MINI EVは搭載するリチウムイオン電池の容量によって航続距離120キロメートルと170キロメートルのモデルがある。
最も安いグレードの価格はわずか2万8800元(約44万円)。
これは中国の農村部で広く普及している「低速EV」に迫る低価格だ。
■低速EVとは、一般的には鉛蓄電池を搭載し最高速度が時速70キロメートル以下の4輪の電気自動車のこと。
その価格帯は1万~3万元(約15万~46万円)だ。
低速EVは中国では一種のグレーゾーン商品。
法規上は「自動車」に分類されず、運転免許を必要としない。
圧倒的な低価格を武器に、農村部や地方の小都市で急成長。
2017年には約130万台が販売された。
自動車に分類される「正規」のEVは高価格。
中国政府は補助金支給などで普及を後押ししてきたが、期待したほど販売が伸びないなか、2020年7月から農村部でのEV普及を目指す「新エネルギー車下郷」と呼ぶ新たなキャンペーンを開始。
EVメーカーに農村市場の開拓を奨励している。
宏光MINI EVは、正規のEVでありながら、最初から低速EVの市場に狙いを定めた。
■しかし、低速EVの市場が消えてなくなることはなさそうだ。
中国国内では毎年1000万台のオートバイ、3000万台の電動自転車、1000万台の小型3輪トラックが売れ続けている。
低速EVも、年間100万台前後の市場規模を維持できるとの見方もある。
(参考)中国の「44万円EV」が農村市場で快走する背景(財新)2020/08/31