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インド太平洋経済枠組み(IPEF)交渉開始




米国主導の新たな経済通商プラットフォームの「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加する14カ国が、9月8~9日に米ロサンゼルスで開かれたIPEF閣僚級会議で、閣僚宣言文採択に合意しました。

  

インド太平洋経済枠組み(IPEF)とは

・Indo-Pacific Economic Framework、IPEF〈アイペフ〉

・中国の影響力拡大を念頭に、自由で開かれたインド太平洋戦略の実現に向けて、アジアにおける経済面での協力、ルールの策定が主な目的。

・アメリカ合衆国大統領のジョー・バイデンが2021年10月に東アジアサミットで提案した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に代わる経済の枠組み。

・2022年5月23日の日米首脳会談で、日本側はこの経済枠組みに対する支持を表明。


参加国は14か国 世界のGDPの40%を占める

アメリカ合衆国 日本 韓国 オーストラリア インド ニュージーランド

シンガポール ブルネイ インドネシア マレーシア フィリピン タイ  ベトナム フィジー



             ※丸囲みはQuad構成国

(出所)https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/research/express/2022/express-pl220912.html

中国と台湾の反応

・中国はIPEFの協議開始に際して、「中国とのデカップリング」「中国を排除する」として警戒感を示している。

・台湾(中華民国)の外交部は台湾が発足国・地域の枠に含まれないことに対して遺憾の意を示した。

・台湾については、米国と台湾の間で「21世紀貿易に関する米台イニシアティブ」が2022年6月に立ち上げられ、8月17日には11分野について交渉を開始することで合意されている。この11分野には、IPEFと重なるものが多く含まれており、米国は同イニシアティブを通じて、台湾をIPEFの取り組みに事実上取り込んでいくことを狙っているとみられる。


4つの柱

・IPEFの4つの柱は、「貿易」、「サプライチェーン」、「クリーン経済」、「公正な経済」

・IPEF参加国は、4つの柱のすべての交渉に参加する義務はなく、いずれに参加するかを自由に選べる。

・今回の合意により、「サプライチェーン」、「クリーン経済」、「公正な経済」の3つの柱の交渉には全14カ国が参加することとなった。唯一の例外は、インドが「貿易」の交渉に参加しなかったこと。


(出所)https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/research/express/2022/express-pl220912.html



●サプライチェーン強靱化の試み

・各柱の交渉事項は、グローバルなルール形成や、企業の事業活動に大きな影響を与えるもので、特に目を引くのが第2の柱「サプライチェーン」。

・国家安全保障の観点から、域内でサプライチェーンの混乱が生じた場合のIPEF参加国間の協力を円滑にし、各国政府が緊急かつ効果的に対応する準備ができるようにする。

・また、重要分野における参加国の国内産業の強化や、貿易投資の促進を図るとしている。

・これらが実現すれば、IPEF参加各国の経済安全保障の強化にもつながる。


●今後の注目点と、日本の役回り

・今後の交渉では、各交渉事項においてどの程度の水準のルールで合意されるのかが注目される。

・「貿易」の柱でインドが懸念を示したように、環境、労働、デジタル経済等で高水準のルールが目指されれば、それらの受け入れに難色を示す新興国・途上国が出てくることも想定される。

・そうなれば、交渉は長引き、合意時期もそれだけ遅くなり、交渉を離脱する国が出てくることも懸念される。

・日本が、米国と新興国・途上国の間の調整役という、重要な役回りを担うことになる。

・今後のIPEFの歩みは、米中間の戦略的競争やインド太平洋地域の経済秩序、日本を含む参加各国の経済安全保障に大きな影響を与えることになる。

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