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アリババ初のベトナム投資 マサン・グループの小売部門に4億ドル(約435億円)

●「中国のアリババ集団が企業連合を率い、ベトナムの複合企業マサン・グループの小売部門に4億ドル(約435億円)を投資。ベトナムの力強い消費支出の伸びに賭ける」と2021年5月19日付日経新聞電子版が、FINANCIAL TIMESの記事として伝えました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1954M0Z10C21A5000000/
記事のポイントは以下のとおりですが、そのあとは、マサン・グループについても見ていきます。
◇アリババは、投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアなどとともに、マサンの小売部門ザ・クラウンXの株式5.5%を取得する。
◇今回の投資はアリババにとって初のベトナムへの投資であり、まだ黎明(れいめい)期にある東南アジアのオンライン食料品市場にハイテク企業が注目するなかでの大型投資となる。
⇒小売りチェーン、ビンマートを運営するマサンは、デジタル事業を築くためにアリババ傘下で東南アジアでネット通販を運営するラザダ(Lazada)と手を組む計画。
⇒今回の出資によって、アリババとラザダは2000店以上が参加するネットワークを利用できるようになる。
◇マサンとベトナム複合企業最大手のビングループは2019年に双方の小売子会社と農業子会社を経営統合した。
◇今回の投資はアリババにとって、数回の出資を経て18年に総額40億ドルでラザダの経営権を完全に掌握して以来、東南アジアで行った最大級の投資となる。
⇒だが、ラザダは過去1年半で中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)が出資する地域のライバル企業ショッピー(Shopee)の後塵(こうじん)を拝している。
⇒ラザダはインドネシアのような多くの市場で、主にショッピーにおされて沈滞気味だ。だが、オンライン食料品は未開拓の分野で、ベトナムではまだまだ未発達で垂直展開も見込める。
・ラザダ(Lazada)ベトナム:https://www.lazada.vn/#
・ショッピー(Shopee)ベトナム:https://shopee.vn/
●ベトナムの複合企業「マサン・グループ」とは?
⇒マサン・グループ ウェブサイト:https://masangroup.com/
◇食品・飲料のマッサン・コンシューマー・ホールディングス(MSH)、飼料・養豚・豚肉加工のマッサン・ミート・ライフ(MML)、鉱業のマッサンハイテク工業品(MHT)、金融事業などを手掛けている複合企業。
◇MSHによる食品・飲料事業のほかに、2019年末にビングループから買収したスーパーマーケットの「ビンマート」、コンビニエンスストアの「ビンマートプラス」ブランドを
通じてビンコマースの小売り事業を展開している。
⇒同ブランドはベトナム最大規模の小売りチェーン。4月6日には韓国SKグループがビンコマース株16.26%を取得する合意文書に署名。
⇒2020年10~12月期の事業別売上比率は、MSHが35.2%、ビンコマースが33.8%、MMLは21.8%など。
◇ 2020年4Qの同社収益は増収減益に
・ビングループから小売りチェーンを買収したことや2020年2月には、老舗洗剤メーカーであるネット洗濯洗剤を買収、子会社化したことが、売り上げ大幅拡大の主要因となった。
・その一方で、大型買収によって支払利息や販売費が急増し、純利益の方は、2020年4Q、2020年通期ともに大幅減益となった。
◇ 小売部門はコロナウイルス禍のなかでも安定成長目指す
・2021年4月に、韓国SKグループは傘下のSK東南アジア投資会社が、同社子会社であるビンコマースの株式16.26%を取得する合意文書に署名した。
もともと同社が持っていたブランド力に加えてこのたびのSKグループとの連携強化を通じて、今後は実店舗とオンラインストアを統合した小売業モデルの確立を目指す。
・コロナ禍の影響拡大を受けて、これまで以上に衛生面などから安心、ブランド力などを重視する傾向が強まっている。
以前から高いシェアと衛生的な商品提供を行ってきた同社にとって、コロナ問題は逆に追い風になっている部分もある。小売部門は今後の同社の安定収益を支えそうだ。
記事参照:https://www.aizawa.co.jp/documents/reports/meigara/asia-MSN-HM.pdf
(アイザワ証券 外国企業レポート)
以上